

2014/10/06
[アパレル・企画] デザインについて—vol.1
クリエイティブディレクターの池見です。
今回は『デザイン』についてのお話です。
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『デザイン』と一言でいっても、
これもまた、ひとによって捉え方が異なる
お化けのような概念のように思います。
特に、『デザイン』を出す仕事を長い間やってきているので、
このことは通説に感じます。
ここでまた辞書を引用。
『デザイン』
①下絵。素描。図案。
②意匠計画。生活に必要な製品を製作するにあたり、
その材質・機能および美的造形性などの諸要素と、
技術・生産・消費面からの各種の要素を検討・調整する総合的造形計画。
(「広辞苑」より)
なるほど! うまくまとめてくれています。
マテリカ的に言うと、
①は「お絵描き・ぬり絵」。
②は「企画」。
②の上に成り立つ精度の高い①。
つまり、『デザイン』=まず「企画!」であるべきだと思っています。
「企画」=コトを企てること。 つまり「総合的造形計画」なのです!
ところで。
売れる『デザイン』作ってよ!
…って、言ったことありませんか?
売れる『デザイン』?!
この言葉を浴びてひっくり返りそうになったこと数知れず…。
売れる『デザイン』、売りやすい『デザイン』。
これらの言葉の裏にもいろいろな意味が含まれているとは思いますが、
経験上、こういうことを言うひとは、
隣の店でこれが売れているからこれを作れ!
とか、
「ベーシック※」にして数売れるようにしたい!
とか、言うひとが多いです。
(※この「ベーシック」という言葉もクセもの! これについては回を改めて。)
きっと『デザイン』を、前述辞書に出てくる①だけ意味としてとらえているのでしょう。
一方で、①的「お絵描き・ぬり絵」系デザイナーがやりがちな間違った『デザイン』の手順。
まず流行(はやり)のディテールを集める。
写真をいっぱいコラージュしてかっこいいマップにする。
何となくトレンドいっぱいな感じになる。
この作業は決して無意味ではなく、どんなディテールで構成するかを考えながら
デザイナーは作業しています。
しかし!
絵を描く前に、どんなディテールにしようかなぁ?って考える前に、
そのシーズンを迎えるとき、どんな「うねり(=トレンド)」の中にあるかを考えましたか?
消費者がどんな心理でいるか考えましたか?
ブランドとしてのシーズンコンセプト決めましたか?
ブランドアイデンティティのフィルターを通して、ディテールを集めましたか?
それより何より、まず②について考えましょう!
マテリカが考える『デザイン』は②。
そう、『デザイン』とは壮大なる「総合的造形計画」でなければならないのです!
デザイン画が完成したときは、
デザイナーの頭の中にはリアルなサンプルが出来上がっている。
そういう状態に導くことが重要です。
そのためには、企画立ち上がり段階で、
壮大なる「総合的造形計画」のビジョンを描き、
それをスタッフに伝えてあげて下さい。
間違いなく企画の精度はアップするはずです。


