

2014/11/26
[アパレル・企画] デザイナーの「インスピレーション」
クリエイティブディレクターの池見です。
デザイナーの立場から、ちょっと言わせてもらいます。
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たとえば展示会で。
「このモチーフにはどんな意味があるのですか?」
と問いかけるバイヤーに、
「シーズンテーマに則したデザイナーのインスピレーションです」
と答えるMD。
アパレルビジネスの世界で良くある光景。
でも。
「なんだよ。デザイナーの土手感(どてかん)かよ!」
…って思われるのであれば、この説明は最悪です。
経験上、こう思われるケースはとても多い。
でも、「デザイナーのインスピレーション」ってそんな軽いものではないです。
デザインに関わるひとは、
いろんなモノをみて、感じて、
頭の中でイメージを作り上げて、
それを他人にわかってもらうために絵を描く。
それがデザイナーの仕事。
デザインを描くひとと、そうでないひとの違いは、
四六時中頭の中でデザインのことを考えているか、そう出ないかの違い。
四六時中頭の中はデザインのことでいっぱい!…なひとの直感が、
それほどトンチンカンなものとは私は思いません。
※注意!
デザイナーのスキルと経験にもよるのでそこは良く見極めて下さい。
あるアパレルブランドのデザイン業務がそのデザイナーの仕事であれば、
その「ブランド」というフィルターをかけて
世の中に存在するありとあらゆるモノを見ます。
だから、その「ブランド」のためのデザインを四六時中考えているというわけです。
雑誌ばっかり見ていても、それは遊んでいる訳ではなく、
ちゃーんと「次のシーズンどうしよっか」って、
目を皿のようにして情報を取っています。
この仕事をしていると、本当の意味で頭の中が休まることってないんですよね。
そこで。
もし、デザイナーが自分のアイディアを「単なる思いつき」と思われたくないなら、
「インスピレーション」を論理的に説明するスキルを身につけること。
しかも客観的なデータを背景にして。
これをすれば誰に対しても説得力のある説明ができます。
一方で、マネージメントサイドは、
この「インスピレーション」の中から「輝き」を見つけ出し、
戦力化する方法を考えること。
当然マネージャー職の方々は、
社会的な流れと需要についての情報は豊富に持っておられるはずですから。
当然のことではありますが、
ブランドの『核』となる「アイデンティティ」がきっちり固まっていることが前提となることは
言うまでもありません。
これがなければ、
戦略があっちいったりこっちいったり、
シーズンごとに違うキャラクターが出てくるようになってしまいますから。
そろそろ、次シーズンの立ち上げのタイミングですね。
ゼロから「1」にするこの時期は、
シーズンで一番パワーがかかるところ。
それぞれの役割のパフォーマンスを最大化して、
シーズン戦略をたてていきたいものです。


